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「Apeの回顧録」by Ape

横溝鞠子

当コラムは、ライブイベント「開花宣言」発起人の1人、Apeによる回顧録である。
イベント関係者・出演者との出会いや印象的な出来事を懐かしみ、慈しむ。
This is これがノスタルジック地獄!

鞠ちゃんとの出会い

あれは多分2006年とか2007年ぐらい。前々回のコラムにも書いたけど、僕は下北沢BASEMENTBARに「ヒーヒズヒムイズム」のライヴを初めて観に行った。
Vocal&Guitar鞠ちゃん、Guitarぺよん、Bassリドくん、Drumsショウヘイくん。今となっては元ヒーヒズのメンバーは全員友達であるけども、その時はショウヘイくん以外のメンバーとは初対面だったので、特に会話が弾むということも無く、ボソボソッと一言二言挨拶を交わすぐらいの感じだったのではないかと記憶している。

2008年、当時僕が務めていた音楽配信事業などを手掛けるIT企業がライヴイヴェントを開催することになり、僕はその担当者に抜擢されたので、ヒーヒズにオファーをしてそのイヴェントに出演してもらったことがあった。
その時の鞠ちゃんのステージ衣装がメイド服だったため、ジャパニーズオタクカルチャーに憧れて来日した同僚のオランダ男子と台湾女子がえらい喜んでいたことは記憶しているが、この時も鞠ちゃんとは特に会話らしい会話を交わしていないものと思われる。

2010年5月、渋谷club乙にて僕のバンドVery Apeとヒーヒズの対バンの機会があった。これがヒーヒズとの初めての対バンとなる訳だが、何故かこの日のことはあまり憶えていない。恐らく鞠ちゃんとも特に話をしていないのではないかと思う。

2013年7月、すでに解散することが決まっていたヒーヒズの主催イヴェントにVery Apeも出演させてもらった。総勢15組も出演する、昼から始まるお祭り騒ぎのイヴェントだった。
イヴェントは大盛況のうちに終わり、そのままバンドマンだらけのガッチャガチャの打ち上げに雪崩れ込んだ。打ち上げもイヴェントに負けないぐらいのお祭り騒ぎで、あちこちで皆が好き勝手に大騒ぎしていた。良い意味で酷い打ち上げだった。僕もゲラゲラ笑いながら楽しく飲んでいたが、前日も別件でほぼオールだったこともあり、この日は適当なところで切り上げさせてもらおうと思い、こっそり荷物をまとめていると、「Apeくん!」と後ろからやたらデカい声で呼び止められた。振り返ると鞠ちゃんだった。多分彼女が僕の名前を呼ぶのはそれが初めてだったと思う。思わず「え?」と返すと、再び「Apeくん!」とクソデカい声で僕の名前を呼び、続けて「お疲れ様!ありがとう!」と言いながら手をヒラヒラさせて見送ってくれた。

当時はまだ鞠ちゃんとほとんど喋ったことが無かったのに、以前から友達だったかのようなキャッチ―な対応で、その時はとても驚いた。まあ、今なら分かるけど、鞠ちゃんはきっと酒を飲んで酔っ払った勢いで人との距離を急激に詰めるタイプなのだろう。

Very Apeも出演したヒーヒズ企画のフライヤー

Very Apeも出演したヒーヒズ企画のフライヤー

桐生の想い出

ヒーヒズが解散した翌年、2014年に鞠ちゃんとぺよんは「ヒステリカヒストリア」という新しいバンドを結成して帰ってきた。
2014年から2015年にかけて、ヒスヒスとVery Apeはちょこちょこ対バンする機会があったのだが、そこでもそんなに話すことは無かった。
しかし、2015年5月に群馬県にある桐生VAROCKというライヴハウスで対バンしたことをきっかけに、僕らの距離はグッと縮まり、それ以降は気軽に会話をするようになった。遠征先で仲良くなるというのはバンドマンあるあるではないだろうか。

今は無期限活動休止中(?)だが、当時精力的に活動していた「艶街」というバンドがある。このバンドは度々メンバーチェンジを行っていたのだが、2015年5月というと、ちょうど開花宣言運営メンバーのミケちゃんがバンドに加入したばかりの頃だった。
そんな艶街と桐生VAROCKの共同企画イヴェント。2015年5月9日(土)と5月10日(日)の2夜連続開催。1日目は艶街、ヒスヒス、Very Ape、スキッツォイドマン、BLACK VELVET LUCY、あと地元のバンド数組が出演。2日目は艶街、COMezik、カイモクジショウ、ハイファイコーヒーズ、Blue Vision、あと地元のバンドが数組という内容で、今改めて見るとなかなか良いメンツが揃っているなあと思うと同時に、懐かしい名前がチラホラあってちょっとノスタルジックな気分になってしまったりもする。
で、まあ、その桐生のライヴ終わりの話であるが、その日はどうも打ち上げが無いようだし、缶ビールでもなんでも良いからとにかくアルコールを摂取して締め括りたいと思った我々は、お酒を求めてちょっと離れたところにあるディスカウントストアまで何名かの出演者と連れ立って歩いて向かったのだ。その道中に皆で色んな話をする訳だが、そこで鞠ちゃんの普段の生活や将来の夢、物事の捉え方や考え方なんかを聞いて、彼女への理解が深まった。
その時にどんな話を聞いたのかとかそういった詳しい部分は伏せるけども、横溝鞠子という人間はきっといい奴なんだろうなあと、僕はその時に強く感じたのだ。

腹割って、吐き合って。

人と仲良くなる秘訣は腹を割って話すことである。
それは間違いなくそうなんだけど、僕は酒を飲んで語り合って、最後に吐いて醜態を晒し合うことでも仲良くなれると思っている。吐くというのは何かの比喩でも何でもなく、胃の内容物を吐くことである。

鞠ちゃんは酔い潰れるとその辺の床に突っ伏して寝たり吐いたりする、ということは人づてに聞いてなんとなく知っていたけども、当事者としてその介抱や後始末をしたことが僕も1度だけある。
2018年の3月に、この開花宣言というイヴェントをもっと盛り上げるためにどうすれば良いか、という打ち合わせを兼ねつつ、同時に親睦も深めたらええやんという飲み会があった。運営メンバーであるショウヘイくん、ヒスヒスメンバー、ミケちゃん、隼人くん、Very Apeメンバーなどほぼ全員が集まって、最初はいつもFOODの提供でお世話になっている下北沢の「BORDERS」で飲むこととなった。そこでは、ああでもないこうでもないと、結構真剣に建設的な議論がなされていたが、飲み放題だったこともあり、お店を出る頃にはもう全員泥酔していた。
当たり前のように2軒目を目指すことになり、誰が言い出したか、居酒屋ではなくイタリアンなファミレスに行くことになった。マグナムサイズのワインを飲めば安上りだろうと。それが良くなかった。しばらく飲むうち、グラスがひとつ割れ、ふたつ割れ……気付けば鞠ちゃんはテーブルの下で寝ながら吐いていた。僕はなるべく酔っていないような振る舞いで店員さんに謝罪をし、片付けも手伝った。
ちなみに、その時に酷かったのは鞠ちゃんだけではない。金井くんは呂律の回らない状態でイヴェントのあるべき姿をdisも交えながら延々と語り、それを受けてショウヘイくんも徐々にヒートアップし、ミケちゃんはミケちゃんで「オイラは!オイラは!」と誰に言うでもなく一人ひたすら叫び続けていた。
そんな状態なので、結局この日の打ち合わせでは具体的なことは何も決まらなかったし、全員酔っ払い過ぎてメチャクチャ面倒臭かったけど、皆の新たな一面を見れたのは良かったと思う。こういう一見無駄のような時間を共有することで、余所余所しさとか遠慮みたいなものはちょっとずつ無くなるものだと思うから。

1軒目で既に出来上がっている運営メンバーたち(戦慄の無許可アップロード地獄)

1軒目で既に出来上がっている運営メンバーたち(戦慄の無許可アップロード地獄)


 

それから4ヶ月後の2018年7月16日、Very Apeはmizuirono_inuとthe8flagの3バンド共同で「犬猿の旗」というイヴェントを開催した。当時Very Apeが何かとお世話になりまくっていた両国SUNRIZEで。
その日鞠ちゃんはお客として遊びに来てくれたうえ、打ち上げにも参加してくれた。打ち上げはそんなに多くない参加人数ながら朝まで続き、4時にお店を追い出されて行き場を失った我々は両国駅近くの路上で飲みながら始発を待つこととなった。
僕はイヴェント中からずっとお酒を飲みっぱなしだったため、とうとう堪え切れず路上で眠ってしまったのだが、そろそろ始発が動くよと皆に起こしてもらった瞬間からずっと地面に四つん這いになって吐きっぱなしだった。胃が激しくポンプのように上下運動を繰り返し、次から次に内容物を噴き出してしまうのである。僕は涙をこぼしながら「どんどん出る!」と空しい叫び声を上げた。鞠ちゃんはそれを聞いて爆笑した。それからしばらく、この時の僕の悲しいマーライオン事件は鞠ちゃんに茶化され続けたのだった。

こうしてお互いに醜態を晒し合って恥ずかしいことが減っていけば、仲が深まり、議論を深めることも可能になるのではないだろうか。

両国駅近くの路上で限界を超えた僕

両国駅近くの路上で限界を超えた僕

次回開花宣言について

ところでこの開花宣言というイヴェントは、これまで常に試行錯誤、トライ&エラーの連続でやってきた。そしてそれは発起人であるショウヘイくんと僕の議論から生まれるものがほとんどだった。
別にこれまでの全てを否定するとかそういうことではないけども、ショウヘイくんと首脳会談をする中で、今後は運営メンバー誰か一人の意向を強く反映する回があったりしても良いのではないかという意見が出て、次回2022年3月13日(日)に開催する開花宣言は、横溝鞠子のアイデアを取り入れた回にしようということになった。それで今は主に3人で、時にリモート会議なんかもしながら準備を進めている。吐き合って仲を深めた鞠ちゃんとの打ち合わせはとてもスムーズである。


 

次回開花宣言の出演者や詳細など、具体的なことは決まったものから随時上記ページや公式Twitterなどで発表していきます。ぜひ情報をキャッチしてください!

Ape